旅行記 ~ 箱根三昧Day3 #12 戻り梅雨と最乗寺
maoP第12話:戻り梅雨と最乗寺
※これまでに比べて長編です、予めご承知おきを。。。
大雄山は箱根か否か
7月9日、10日と箱根を堪能した我。
さて最終日は箱根のどこにいこうかなと地図をぐるぐる。。。グーグルマップだけにさせていると、
南足柄の山の中に「最乗寺」というお寺を発見した。そしてやけに評価が高い。
なるほど、これは行ってみる価値がありそうだ、と最終日を最乗寺1本に絞り、まずは小田原駅に移動。
▲伊豆箱根鉄道の大雄山線
伊豆箱根鉄道の大雄山線に乗り込み、終点の大雄山駅を目指す。
大雄山が果たして箱根なのかといわれるとちょっと離れていて違う気もするが、
そこを通っている鉄道会社が「伊豆箱根鉄道」というのだから、これは間違いなく箱根であろうと、私は考えるのである。
伊豆箱根鉄道大雄山線 普通 大雄山行 : 小田原駅9:48 → 大雄山駅10:09
列車は約20分で大雄山駅に到着。
終点ということもあり、立派な駅舎がお出迎えである。
▲大雄山駅に到着
大雄山にほど近い足柄山は金太郎のふる里らしく、立派な金太郎の像が立っていた。
▲すっかり熊を手懐けている
さて、大雄山から最乗寺まではちょっとした山道を3.5㎞くらい歩く必要がある。
道中には「天狗の小径」なる散策路もあるようだし、天気が良ければ絶賛歩いてもいいだろうと思ったのだが、生憎の雨模様。
2022年は梅雨明けが早かった・・・発表が早かったのだが、その後しばらく天気はぐずついているようで、
『なるほどこれが巷でいう戻り梅雨か』などと思ったものである。
▲最乗寺行きのバス
丁度いい時間にバスが出るようだったので、これに乗って最乗寺へ向かうことにした。
乗客は始発から終点まで私1人であった。
異世界の風
伊豆箱根バス02系統 導了尊行 : 大雄山駅10:26 → 導了尊10:36
バスの乗車時間は10分ほど。私1人を降ろし、バスは今度は大雄山に向けて出発の準備に入った。
さて、最乗寺であるが、公式サイトを引用させてもらうと、
曹洞宗に属し全国に4000余りの門流をもつ寺、600年の歴史を持つ関東の霊場として知られているという。
最乗寺は境内に向かうまで結構な段数の階段と、長さの参道が待ち構える。
入口からでは、全くもって最乗寺の書院などの姿を見ることはできない。
▲最乗寺入口
小康状態になった中ゆっくり階段を上り、最乗寺の中心部へと歩みを進める。
▲まず現れる大きな「三門」
「三門」をくぐるとどんどん山奥に入っていくような感覚になる。
参拝者以外の人の気配は皆無だ。
▲最乗寺の案内板
▲灯篭にも歴史の息吹
入口から歩いて3分ほどで大きな三門、そしてさらに3分ほどで案内板が見えてくる。
この間にも大小さまざまな石段を登ってきたので、お年寄りなんかはこの時点で結構きつそうだ。
入口から7分ほどで「瑠璃門」にたどり着く。
瑠璃門の近くには『受け付けはこちら』という看板が立っているが、祈祷用のものであり、
参拝や観覧にあたってお金を取るとかそういうことはない。
▲瑠璃門
くぐると、目の前には最乗寺の中心に立つ「書院」が現れる。慎まやかな雰囲気。
▲書院には近づくこともできない
書院の近くには、小さな池のなかにぽつんと立つ「光明亭」を見ることができる。
周囲のこげ茶色の建物とは少し違った趣だが、しっかり木造建築だ。
▲光明亭
周囲には霧が立ち込めており、まるで異世界の、或いはこの世とあの世のはざまに立つ寺院に迷い込んだかのよう。
▲戻り梅雨に伴って霧雨も舞っていた
霊場という場所にふさわしい、霊験あらたかな雰囲気であった。
最乗寺の水
ここまで最乗寺の入口から書院まで来たが、実は最乗寺のたった1/3しかまだ巡っていない。
それだけここは大規模なお寺なのである。
瑠璃門をくぐって見えるのが書院なので『あれが本堂を兼ねているのかな?』と思うかもしれぬが、
実は本堂は瑠璃門の左手、15段ほどの階段を上った先にある。
▲最乗寺の本堂はこちら
本堂にお賽銭を入れてお参りし、続けて本堂の左手――南側へと進んでいく。
この日は近くの幼稚園児たちがいわゆる校外学習にきていたのだが、なにやら子供たちが群がる様子があった。
子供たちがはけた後に見てみると、どうやら「金剛水堂」の壺に湧き水が沸いているようである。
▲子供たちはこの湧き水に群がっていたのだった
600年前に開山したときから1回も水が枯れることなく、しんしんと湧き続けているのだという。
由緒ある最乗寺の水を、私も一口、口に含んだ。なんだかほんのり、甘い味がするようだった。
金剛水堂の近くにも様々なお堂があるので軽く紹介しておこう。
▲開山堂
▲多宝塔
本堂から森の方へ進み上記お堂を見て回ると、なにやら滝の音がしてくる。
▲滝行をする女性たちの姿が
どうやら「清心の滝」という場所で滝行が行われているようであった。
私は全くそういう熱心な教徒ではないので滝行はやらないが、
こういうのに本当に熱心な人は、何度も滝にはいるのだろうなぁなどと思うのだった。
天狗の山
最乗寺は天狗伝説が残る場所でもある。
境内には天狗の像や下駄が奉納されており、世界一大きい下駄なんかも見ることができる。
そんな大きな下駄は果たしてどこにあるのかというと、結界門を越えた御真殿の近くにある。
まずはその「結界門」。名前が厨二心をくすぐる。
▲結界門をくぐって心身を清める
結界門をくぐると見えてくるのが御真殿への階段だ。
これまでも何段もの階段を登ってきて長い間境内を歩いてきたが、ここでもさらに階段の登場となる。
▲御真殿への階段
私が実際に訪れた順序とは少し異なるが、
旅行記上ではセオリー通り(?)に、先に「御真殿」へと向かうとしよう。
▲御真殿
御真殿は最乗寺最大のパワースポットともいわれ、1、5、9月にはご開帳が行われ特にご利益があるといわれている。
その御真殿のすぐそばにはなにやら赤い紅葉や小さな下駄が。
そう、ここに「世界一大きな和合下駄」があるのだ。
▲真っ赤な和合下駄
天狗の履く下駄のイメージ通り、真っ赤に染まった和合下駄。なんと3トンもあるのだとか。
これまで見てきた緑の森や茶色の厳かなお堂たちとは一線を画し、異彩を放っていた。
御真殿の近くには菩薩像や三面殿といった施設がひっそりと佇んでいる。
▲水をたたえる菩薩
▲真っ白な三面殿
三面殿はパワースポットとしても取り上げられている、詳しくはこちらを参照。
「奥の院」
最乗寺に来たからには是非とも行っておきたい最大のポイントが、最乗寺の最奥に立つその名も「奥の院」である。
御真殿からさらに、さらに奥へと階段を上っていくと、奥の院にたどり着くことができるのだが。。。
ここまでかなり体力を消費しているところに、これまたえげつない階段が待ち構えているのだ。
まずは奥の院の入口へ。
▲奥の院へ続く階段
門から見える階段の段数に早速嫌な気配を感じ取るが、、、
しかし道中で見えた川の景色はとても奥ゆかしいものである。
▲川のせせらぎ・・・にしてはちょっと森深いか
途中休憩所のような場所を含みつつ、併せて100段程度の階段を上っていくと、
奥の院へ上がる最後の長い長い階段が現れる。
▲最大の難関、登場
あまりに急で長い階段、途中には休憩できるようなポイントもない。読んで字のごとく、難敵である。
段数は約260段、御真殿からの段数を含めると約350段にも及ぶ。
しかし鬱蒼とした森林のなかに続く階段は異界へ、
いや、仰々しさを隠さないで言うとするならばまさしく天へ通じるような、そんな神秘的な雰囲気を強く醸し出している。
・・・まだまだ若いとはいえ(23さい←)、さすがにこの階段には息を切らしてしまったが、なんとか登頂し奥の院へ。
▲奥の院へ到着~
上り切るのに5分もかかってしまったので、近くのベンチで一旦休憩し、そののち参拝。
奥の院のすぐ傍にはお守りなどを売っている売店がある。
奥の院限定で買えるものはなさそうだが、目に止まった水晶付きのお守りを購入。
私の財布の中に、今でも眠っている。
売店の世話焼きおばちゃん
ここまで最乗寺の探訪記を長々と書いてきた。
しかし最後に是非残しておきたい話があるので、最後に小話として載せておこう。
最乗寺のバス停の近くには、お土産などを売っている小さな売店がある。
最乗寺を巡って降りてきたときにおばちゃんに声を掛けられた。
最初は正直スルーしようかと思ったが、『御飯もあるよ~』の一声に私のお腹が反応したので、お昼時ということもあって寄っていくことにした。
▲売店のおばちゃんに釣られてしまった
お土産の品を紹介され、もみじ型の煎餅を試食させてもらう。
甘味がほんのりきいていて、実にうまい。(お土産に買って帰った、ちょろいな)
▲もみじのおせんべい
そしてお蕎麦どうするかいと聞かれてメニューを出されるので、天ぷらそばを注文。700円。
▲天ぷらお蕎麦、美味しかったよ
お蕎麦がくるまでの間雑談に花が咲き、お互いの旅行話などをあれこれとしたものである。
おばちゃんおじちゃんには昔から旅行中はよく懐かれるものだ、そういう顔立ちなのだろうか。
さてお蕎麦を食べてこれからどうしようかというお話になったところ、
最乗寺のすぐ近くにある温泉施設「おんりーゆー」という施設を紹介された。
確かに候補として『あっ、ここはいいなぁ』などと思ったりはしていたところだったので、これはラッキーだ。
おまけに送迎バスまで電話まで呼んでくれたのである。そこまでしていただくと一周廻って申し訳ない。。。
▲送迎バスでチート移動
▲正真正銘の森の中の温泉だ
森の中の大きな露天風呂、最高以外の言葉はない。
帰りは定時運行している大雄山駅行のシャトルバスで、大雄山駅に移動。
車窓には足柄の街並みを見下ろせる絶景ポイントが映った。
▲どんより雲ってはいるが。。。
最後の最後も曇天模様。。。今回の旅行を象徴するような、そんな車窓だった。
普段は最終話の最後に編集後記を載せるのだが、それらはもう1ページ分割してそちらに載せることにしよう。