旅行記 ~ 出雲旅行 -トロッコと縁結びの旅- Day3 #6 黒き国宝
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第6話:黒き国宝
松江城への道
一畑バス 玉造線 松江しんじ湖温泉行 : 玉造温泉9:00 → 玉造温泉駅入口9:08
JR山陰本線 特急やくも1号 出雲市行 : 玉造温泉駅9:48 → 出雲市駅10:10
一畑電車 北松江線 松江しんじ湖温泉行 : 電鉄出雲市駅10:25 → 松江しんじ湖温泉駅11:22
一畑バスで直接松江に向かわなかったのは、当初は先に雲州平田で途中下車する予定だったためこうなった。
玉造温泉からは無論一畑バスで直接松江方面に出向くのが近く安い、正攻法だ。
▲玉造温泉に停車中の一畑バス
▲一畑電車からは宍道湖を眺められる
ぐるっと遠回りする形にはなってしまったが、お昼前には松江しんじ湖温泉駅に到着。
目指すは黒き国宝、松江城である。
松江駅或いは松江しんじ湖温泉駅からは、松江城に向かってバスが出ている。
しかしこれが私がバスを苦手とするゆえんというか、難しいところなのだが、
バスの本数と種別が多すぎて『果たしてどれが松江城を経由するのか』がさっぱり分からない。
数キロ離れた場所に城があるのならば何とかバスを探したが、
幸いにも松江しんじ湖温泉駅からは1キロちょい、松江駅からでも2キロ程度なので、
炎天下の中ではあるが、松江の景色も楽しみたいところなので、私は歩いて松江城へ向かうことにした。
▲松江市街を流れる京橋川
京橋川は松江市街をぐるっと1周するように流れ、途中松江城のお堀も経由して松江の東に位置する中海へ流れる。
川の周りには木々が植え込まれ、のどかな雰囲気を醸し出していた。
歩いて15分ほど、島根県庁が左手に見えると、じきに松江城のお堀が現れる。
▲松江城のお堀、しかし天守閣はまだまだ先
松江城の入り口には、戦国時代の武将「堀尾吉晴」(ほりおよしはる)の像が建てられている。
▲堀尾吉晴とは何者だろうか
この堀尾吉晴という人物、あまり知名度は高くはないものの、
戦国時代真っ只中の1543年尾張の国に生まれ、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康にも仕えた武将なのだ。
そして晩年の1611年、松江城を建立し本拠を移す。
堀尾自身はこの直後に死去してしまっているが、松江城を語るうえでこの人物は欠かせないのだ。
松江城の始祖に触れたところで、松江城の内部へ入っていく。天守閣はまだ木々に隠れている。
▲松江城に入ってもまだ天守閣は先
比較的長い階段が多く待ち受けているので、体力に自信がない人は休み休み進むのがよい。
▲天守閣へ続く階段を数分にわたって上る
一ノ門のところまでくると、なにやら左手に神社が見える。
詳しいことは調べてもよくわからなかったが、とりあえず「福徳稲荷神社」という神社だそうだ。
▲立派だが参拝者はほとんど見られなかった
炎天下で体力が削がれてきたところなので、申し訳ないがここはスルーさせてもらって、先へ進む。
▲天守と同じ白と黒に塗られた一ノ門
天守の景色
一ノ門を超えるとついに天守閣のあるエリアに到達。
天守閣に上がる際は先に販売機或いは受付で680円を支払って登閣券を入手しておく必要がある。
▲天守閣へ登るための券は先に購入
券を入手して天守閣へ登る権利を得たところで、いよいよ天守閣とのご対面!
・・・少し勿体ぶったが、実は一ノ門を超えて右手を見れば、天守閣自体はすぐ見ることができる。
▲艶やかな黒が底知れぬかっこよさ
黒い天守といえば松本城が圧倒的人気である。
確かに大きさ、規模こそそれには劣るものの、しかしそれに劣らぬ鮮やかな黒をたたえる天守閣。
さすが江戸時代から残る現存天守、そして国宝、といったところだ。
天守閣を一通り眺めたところで、暑さから逃れるためそそくさと天守閣へ。
入り口で靴を入れるための袋をもらい、靴を入れる。つまり土足厳禁だ。
続けて先ほど買った券を見せ、パンフレットをもらう。
松江城鑑賞の支度が整ったところで順路に従って天守閣の中を進むと、
一番手に現れるのはなんとしゃちほこ。これはつよつよセトリの予感。
▲しゃちほこがいきなり登場
▲その隣にあるのは井戸
先ほどもちらっと触れたが、この城は現存天守、つまり江戸時代の姿かたちをそのまま残しているお城である。
そのため階段がかなり急。手すりや滑り止めなどの加工措置はあるものの要注意ポイント。
▲階段で滑って転ばないように
外からはそう見えなかったが、城内は意外と広い。
現存天守の中でも2位の広さ、3位の高さがあるという。なるほど、広いわけだ。
▲広々とした天守閣内
天守閣内も決して涼しくはなかったが、数か所に扇風機が設置されており、ある程度涼むことはできた。
展示物は松江城にまつわるものが続く。
松江城の瓦に使われていた「鬼瓦」、富の字が刻まれた天守古材、当時のまま残る甲冑・鎧などなど。
歴史好きにはどれも見逃せない、まさしく宝の山となっている。
▲鬼瓦、なぜ鬼なのかは謎
▲富の字が断面に刻まれた古材
▲往時の武士が着用していたと伝わる甲冑・鎧
松江城に所縁のある人物の像として、「松平直政」の騎乗像がある。
松平直政は大坂の陣で14歳の若さで徳川方として参戦し、真田信繁の真田丸を攻めたという。
信繁はその勇ましい姿に軍扇を投げ与えたそうな。
▲松平直政
巨大な鼓。往時にはこれを使って城下町への知らせや祭りなどに使われたのだろうか。
▲鼓を見ると最上階はもうすぐ
天守のある景色、天守の景色を堪能したところで、最後は天守からの景色だ。
天守閣からは松江の市街を東西南北すべて見渡すことができる。
南方面へは宍道湖を望むことができ、
▲宍道湖が遠くへ
東方面へはゆったりとした松江市街を隅々まで見下ろす大パノラマ。
▲一国の主になったような気分で
ここまで登ってきてからのこの高さからの景色、城巡りはこれだからやめられねえぜよ。
出雲名物全部乗せ
私が松江城を訪れたときはちょうどお昼時であったが、そんな時にもってこいの茶屋がある。
天守閣への登頂を始める前の大手門付近に立つ「ちどり茶屋」さん。
店内の片づけを待ち、店内へ案内される。今回はここでお昼をいただくことにした。
▲雰囲気ばっちりの茶屋さん
お茶屋さんなのでメニューは彩り豊かである。
夏限定の氷系のメニューをはじめ、ぜんざいやあんみつなどのお菓子系統もばっちり。
しかし私は今回はそれらは頼まず、出雲といえばアレ、のブツを頼むことにした。
それは、言わずもがな、
▲出雲そばの登場
「出雲そば」である!
おまけに宍道湖名物のしじみ汁にしじみご飯までついた、まさしく出雲名物全部乗せパーフェクトセット。
さてこの出雲そば、本当は1日目の出雲大社(1話参照)周辺で食べる予定だったのだが、
ああいうところのお店は閉まるのが本当に早い。
15時で店を閉めてしまうところがほとんどで、私が出雲大社に赴いた時間にはもうほとんどのお店が営業終了だったのである。
そんな背景を聞けば、メニューを開いて出雲そばを発見した瞬間に出雲そばの注文が確定したのは想像に難くなかろう。
さて御託を並べるのはここまでにして、さっそく出雲そばを堪能していこうじゃないか。
▲出雲そばの食べ方がメニューに書かれてある
出雲そばの食べ方は特殊で、まず3段重ねになっている一番上に薬味とおつゆをほしいだけぶっかける。
さすがに全部は使い切れないが、だいじょうぶそれでよい。
食べ終わった1段目を避けると、なんとあらふしぎ2段目にもおそばが入っているのである。
この2段目のお蕎麦に、1段目で余った薬味とおつゆを流し込む。
これを3段目でも繰り返して頂く、というのがお作法なのだ。
▲薬味をぶっかけ、もう美味しそう
割子蕎麦セット1100円、最高の一品でございました。
▲美味い飯の美味い以外の感想は野暮というもの
松江バス ぐるっと松江レイクライン : 国宝松江城12:50 → 松江しんじ湖温泉駅13:05
帰りはたまたまバス停で経路を確認していたらやってきたバスに乗り込んで松江しんじ湖温泉駅へ帰還。
レトロな風貌・車内のバスであった。
▲一度だけ乗ったレイクライン