旅行記 ~ 出雲旅行 -トロッコと縁結びの旅- Day2 #4 雨の中の奥出雲おろち・復路
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第4話:雨の中の奥出雲おろち・復路
※奥出雲おろち号(以下おろち)の切符争奪戦の話・往路は、前話の3話に書いてあるのでそちらを参照下さい。
備後落合駅
おろちは往路の旅を終え、12時36分に備後落合駅に到着。
備後落合駅、各路線から客や荷物などが落ち合うという意味で名付けられたそうで、
まぁだから昔はそれなりに大きなターミナル駅だったのだが、今となってはその廃れ具合はえげつないの一言である。
▲備後落合駅の駅名標
▲備後落合駅駅舎
少なくとも駅ホームからは民家を確認することはできず、定期的に利用している人は皆無に近い。
こんなところに訪れる物好きはごくごく一部の地元の人たちと、18きっぷの季節に訪れる乗り鉄くらいだろう。
そんな立地にある駅に利用促進の横断幕や幟が取り付けられていたとしても、
正直ないよりマシの最低限の役割を果たしているかすら怪しい。
▲沿線を並行する道路につけたほうがまだ効果がありそうだ
備後落合駅の出発は12時57分なので、20分弱は備後落合駅の周辺をうろつくことができる。
▲備後落合駅で出発を待つおろち
▲連結部を間近で
私はコアな鉄じゃないから詳しいことはわからないが、
なにかの記録になりえるだろうと一応おろちを隅々まで撮影しておいた。
出発の時間も近づいてきたので、往路はトロッコ側に乗ったが復路は客車側に乗り込み、出発を待つ。
▲客車側は昔ながらのレトロな雰囲気
北海道を走る古い気動車もこういうような車内だが、
やはり新型のものよりも少し古めかしい白色灯のほうが、なんだか落ち着くものである。
出雲坂根の延命水
JR木次線 奥出雲おろち号 木次行 : 備後落合駅12:57 → 木次駅15:57
往路は2時間半の旅路だったが、復路は3時間の旅路となる。
対向列車の関係上、出雲坂根駅と出雲三成駅で比較的長い停車時間が設けられているためだ。
列車は大きな音を響かせながら、無人地帯に立つ備後落合駅を後にして、来た道を戻る格好で木次駅に向かう。
▲柚木駅付近
往路ではかなりの大雨となっていた柚木駅付近では晴れ間がのぞくタイミングもあったが、
やはり三井野原駅から出雲坂根駅に向かう間では少しばかり黒い雲が立ち込め、雨が降ることもあった。
復路も、往路と同じようにおろちループを眺めることができる。
▲真っ赤なループ橋
鬱蒼とした森の中に突如と真っ赤な橋が現れるその様は非常に私たちの心をひきつけてやまない。
往路復路関係なく、何度でも見たい景色である。
そして是非とも、おろちループからトロッコ列車を眺めてみたいものである。
列車は往路でも行ったスイッチバックを行い、出雲坂根駅に到着。
復路で気づいたが、スイッチバックする時運転手はわざわざ機関車と客車の運転席の間を移動してスイッチバックを行っているのであるな。
そして機関車に出入りする時は、客車側のドアを厳重に管理して、少し大変そうに出入りしているのが印象的だった。
そんなこんなで、列車は13時49分、出雲坂根駅に到着。
▲出雲坂根駅
出雲坂根駅に停車した直後に、備後落合行の普通列車の出発となる。
つまり、出雲坂根駅構内の踏切からは、おろちと普通列車の並びが一瞬見られるというわけだ。
その一瞬のタイミングを逃さず・・・
▲おろちと木次線ディーゼルの完璧な並び
我ながら、実によく撮れた1枚だ。
復路の出雲坂根駅では18分の停車時間がある。観光客たちは一様に席を立ち、出雲坂根駅周辺の散策に出るのであった。
▲備後落合行の普通列車も同様にスイッチバックを行う
▲出雲坂根駅に停車中のおろち
さて、出雲坂根駅に停車中の間、観光客たちはいっせいに駅の外へ向かうのだが、
なにやら各々、ペットボトルや水筒などの容器を手にしている。
そう、出雲坂根駅の名物といえば「延命水」なのだ。
▲延命水を汲む客たち
中国山地の山奥にて絶えることなく湧く水。
栄養分が豊富であることや100年を超えた古狸が飲んでいたことなどからこのような俗名が付いたが、
まぁ少なくとも都会の水道水なんかよりは圧倒的に水質はいいはずである。
▲延命水の案内
私も一口二口、手ですくって飲んでみることにした。
なるほど、確かに甘く冷たく瑞々しい。これは是非家の庭に欲しいものである。
出雲三成でお買い物
列車は14時07分、出雲坂根駅を出発。
八川駅、出雲横田駅、亀嵩駅と過ぎて、列車は14時55分、出雲三成駅に到着。
この駅では備後落合行の普通列車を待機するため、20分の停車時間がある。
出雲坂根駅と同じく、乗っていた乗客は散策のため一斉に列車を降りてゆく。果たしてこの駅には何があるのか。
▲出雲三成駅に到着
出雲三成駅、気を抜くと結構蜘蛛の巣が出しゃばっているので気を付けたい。
そんなことは一旦置いといて、駅舎の方へ出てみると、なるほどどうやら観光協会らしき場所で地元の品の販売が行われているようである。
地元で採れた野菜はもちろん、このあたりで採れる原料を使ったお菓子や飲み物、加工品なんかも取り扱っていた。
私は奥出雲のはちみつを使ったというカステラを大小2つ、あと島根のお米を使って作ったというお煎餅を購入。
▲出雲三成駅駅舎
▲手土産を持って列車に帰還
ふむふむ、なかなかいい買い物をしたものだ。
客車で列車の出発を待っていると、反対側のホームに備後落合行のディーゼルが到着。
▲もはや見慣れた木次線の気動車
18きっぷ期間内ということもあってか、いくらか客が乗っているようではあった。
ちなみに備後落合駅まで行く列車はこのすれ違った気動車が最終便である。
木次駅基準で言うと、14時36分発の列車が備後落合駅までいく最後の気動車なのだ。
とはいえ、備後落合方面へ出る列車そのものが1日6本(+おろち)しかないので、正直どうしようもないのであるが。
おろち、ラストスパート
おろちは復路ラストに向け力いっぱい奥出雲の谷を越えてゆく。
▲久々野駅~日登駅間の車窓
このあたりの谷は、かの神話によればおろちが強烈な火を吐くことで抉られできた谷なのだとか。
マジレスは置いといて、まぁこれも神話の国・出雲らしいといえば出雲らしいではないか。
往路復路併せて6時間の旅を終え、おろちは木次駅に無事帰還。
▲木次駅に到着、おつかれさまでした
老朽化が激しいとのことだが、繁忙期が中心とはいえ、
あの山岳路線を登っては下ってを繰り返していたらそらぼろぼろになるわなぁというのが感想。
JR北海道の特急大雪やオホーツクに使われる車両も、晩年の北斗星などに使われた客車も、間近で見るとひどい有様だったのを思い出す。
▲木次駅全景
さて、ここで少し鉄に造詣が深い方々向けに、車内チャイムの話をしておこう。
あくまで私が乗車したときの話なので、車掌の気分で変わったりするかもしれないがそこは予めご承知おき願いたい。
興味がない人たちは無論すっ飛ばしてもらって構わない。
おろちで流れたチャイムは国鉄チャイムを代表する3種類、「鉄道唱歌」「アルプスの牧場」「ハイケンスのセレナーデ」の3つだった。
順番的にはセレナーデ→牧場→鉄道唱歌→セレナーデ…のループで、往路復路併せて3回ずつ、計9回鳴った。
タイミング的には、
【ハイケンスのセレナーデ】
1.往路・木次駅出発後、アナウンス前
4.往路・出雲坂根駅到着前、アナウンス前
7.復路・出雲横田駅到着前、アナウンス後
【アルプスの牧場】
2.往路・出雲横田駅到着前、アナウンス前
5.往路・備後落合駅到着前、アナウンス前
8.復路・出雲横田駅出発後、アナウンス前
【鉄道唱歌】
3.往路・出雲横田駅出発後、アナウンス前
6.復路・備後落合駅出発後、アナウンス前
9.復路・木次駅到着前、アナウンス前
基本的にはアナウンス前に鳴るので出発後に待ち構えておけば録音できるが、唯一ハイケンスのセレナーデだけ録音できなかった。
復路の出雲横田駅の到着前になるだろうとそこまでは予測できたのだが、アナウンス前に鳴らなくて、
『あれーーー鳴らないじゃん』って思って録音をやめて油断していたらアナウンス後に鳴ったのである。不意打ち。。。
撮り逃したくない人は、往路の木次駅出発直後が一番間違いないと思うので、そこを狙うとよい。
2日目は奥出雲おろち号に1日を費やす形となった。
しかし今回の旅の一番の目的であったので、後悔どころか大満足の2日目であった。
3日目以降は本格的に出雲の旅となる、お楽しみに。