旅行記 ~ 出雲旅行 -トロッコと縁結びの旅- Day4 #11 彩れ!松江の空
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第11話:彩れ!松江の空
彩・熱
10話から時は少しさかのぼり、3日目の夕刻。
出来事でいえば雲州平田で自転車を返した後、17時25分発の電車で松江しんじ湖温泉駅に向かい、ちょうど下車したところ。
▲松江しんじ湖温泉駅で下車
松江の街そのものは3日目は2回目だが、1回目の目的は松江城(6話参照)、
そして2回目は、今回11話の1つ目の主題となる宍道湖を照らす情熱的な夕日が目当てだ。
乗ってきた一畑電車も止まってる電車も夕日のような色合い、ということでこれは夕日への期待が高まるな。(???
▲駅の向こう側に夕日が見える
夕暮れを迎え1日が終わろうとしている金曜の松江の街を、私は一段とのんびりとした足取りでほっつき歩く。
松江の黄昏時を彩る夕日といえば、
松江市街地から少し南に浮かぶ「嫁ヶ島」を構図に含め、夕日が宍道湖の水平線に沈む最中の
真っ赤に染まる幻想的な夕焼けの写真を見たことがある人も多いだろう。
結論からいうと、夏は夕日の沈む角度的に、嫁ヶ島の向こう側の水平線に夕日を沈ませることはかなり難しい。
▲夏は夕日が沈む先は山なのだ。。。
夏の夕日は北西、つまり山のほうへと沈んでしまうため、夏の間は、かの鮮やかな構図に巡り合うことはたぶんできない。
秋以降であれば太陽はより真西に沈むし、空気も澄むだろうから、きっと鮮やかな夕焼けに出会えるだろう。
・・・とはいえ、水平線に沈む夕日それだけが夕焼けのすべてではない。
夏の松江の空に毅然と輝く夕日、松江の美術館も黄昏色に染めるその様は本当に美しい。
▲島根県立美術館を明るく照らす夕日
もう少し海岸線をぐるっと廻り、美術館すぐ近くの公園から夕日を撮影する。
▲松江の空を彩る夕日
この日もやはり最後に薄い雲が出てきてしまったのが残念だが、
それでもその存在感は、この程度の雲ごときでは揺るがなかった。
彩・動
時を先に進め、10話の美保関探訪後に舞い戻る。
10話の最後にちらっと触れたが、この日は松江は夏空が広がっていたものの米子では大雨により落雷が発生し、
山陰本線で停電が発生し一時的にストップするというトラブルに見舞われた。
▲ストップした山陰本線
さすがに停電によるトラブルはどう計画を練っていたとしてもぶち当たってしまったらどうしようもない。
いつ再開するかもわからない中、米子駅に立ち尽くしてこの日のメインイベントを逃してしまうのは非常にもったいない。
ということで、私はさっさとタクシー乗り場に並び、米子から松江まで1時間タクシーを走らせるのであった。
なお料金は9300円であった、高いぜ。。。。。
▲宍道湖の湖岸に人だかりが
なにはともあれ、無事に松江に到着した私は、一目散に・・・と書くと必死な様子でそれはちょっと解釈違いなのだが、
とにかく3日目にも訪れた島根県立美術館の湖岸へと向かう。
ああ、ちなみに山陰本線は私が松江に着く少し前の18時過ぎに運転を再開した。
こればっかりは運次第というか、結局山陰本線があのまま動かないことにでもなれば
タクシーに大量の列ができてタクシーを捕まえるなんて到底無理な話だから、これはこれで正しかったのだ。
8月6日、この日は松江のみならず鳥取や出雲など各所から大勢の地元民・観光客が駆けつける一大イベントがある。
そう、「松江水郷祭」だ。
1929年から続く伝統ある花火大会で、2日間に渡ってそれはそれはたいそうな数の花火が上がる。
初日の6日は約1万発もの花火だ。
▲花火を見るためたくさんの人が湖岸に座っていた
これはいつだったかにも書いたが、たまたま観光列車の日付が空いていたのが8月4日で
それに準じて旅程を立てたため、正直花火は完全に目論見から外れていた。
しかし旅程を立てるためいろいろ調べているうちに、8月6日、出雲旅行の4日目に松江で花火大会があることを知る。
4日目の夜といえば、修学旅行ならばクライマックスでひときわ大きな催しで盛り上がる、、、つまりそのタイミングでの花火だ。
これはまじで神に誘われたか・・・???などと本気で思ったものである。
私は独り身での旅行だが、別に友達や彼女がいないからといって花火を見に来てはいけないなんてルールはない。
美術館に併設された公園をしばらくうろうろし、少し坂になっているところに空いているところを発見し、腰を下ろす。
▲花火まで残り30分の19時30分
実は上述3日目の夕日観覧は、この花火大会の下見を兼ねていたりする。
そういうところは我ながらちゃっかりしているぜ。
徐々に夕日も山に沈み、あたりは夕焼け色から徐々に薄暗い宵闇色へと変化していく。
このグラデーションの移り変わりも実に美しく、見物客もしきりにカメラを空へ掲げていた。
しかし時が経つのも空が移り変わるのも早いもので、花火が始まる10分前にはすっかり暗くなって、
松江の空の動きも止み、花火の準備も万端といったところだ。
▲あたりはすっかり闇におちた
そして20時ちょうど、何の前触れもなく、1発目の花が咲いた――。
彩・花
松江水郷祭の始まりを告げる1発目の花火が鳴り、あたりは歓声と拍手に包まれる。
最初は様々な色の花火が次々に打ちあがるセクションだ。
▲色とりどりの花火が打ちあがる
花火は宍道湖の湖上に浮かぶ2つの台船から上がる。
1か所は嫁ヶ島の近くから上がるのだが、これは少々松の木が邪魔で半分くらいしか見えない形に。
しかし松の木は等間隔で生えていたから、かなり湖に近いところで座らないといけなかった、これは致し方なし。
花火は絶え間なく次々に上がり続ける。
小さな連射型の花火、そして時にひまわりのような一輪の大きな花火。観客を飽きさせない工夫が随所にみられる。
▲夜空に映える黄色の花々
▲大きい花火の余韻
大きい花火にももちろんいくつか種類があり、
儚くすぐに消えてしまうもの、しばらく枝垂桜のように垂れて残るもの、すぐ消えるが爆竹のように音で楽しませるもの。
そして空高くに打ちあがり大空いっぱいに咲き誇るもの・・・。
▲枝垂桜のような花火
都度魅せる彩りが変わる花火に、観客たちは悲鳴にも似た感嘆の声を上げざるにはいられなかった。
中盤ではまるでメリーゴーラウンドのように次々と打ちあがる花火も。
▲まるで花火の狂騒曲
すいかやカエルなどを模した花火が打ちあがった際には、子供たちも大喜びだったものだ。
私は基本的に常にカメラを構えていたが、それはそれとして、しっかり肉眼でも花火を見ていた。
こういうものはカメラで映るものと肉眼で実際に見るものは正直全く似て非なるものだからな。
皆が時計を気にし始めるころ、残り10分となって花火の打ちあがり方も激しくなり、ラストスパートを感じさせる。
▲打ちあがる花火の数が一気に増える
大量の花火が打ちあがり続け、残り1分。
▲夜空を覆いつくす巨大な花火
そして最後、一瞬の静寂が訪れた後。。。
▲とどめのいっぱつ!(撮影動画から切り抜き)
満開の花が、夏の夜空を彩った・・・――。