ブログ ~ 山形旅行記・瀬見温泉/鳴子温泉Day3 #8 雪に閉ざされし堺田
maoP第8話:雪に閉ざされし堺田
分水嶺は雪の中
陸羽東線 普通 鳴子温泉行 : 瀬見温泉駅10:22 → 堺田駅10:50
▲陸羽東線。この気動車もだいぶ見慣れてきた
旅行は3日目。この日は兼ねてより行きたかった鳴子温泉へと足を延ばすことにする。
ただ、ただ温泉に行くだけではちょっと物足りないので、
ここは堺田駅で途中下車をしてみることにする。
何故この駅なのかといえば、まずは太平洋と日本海へそそぐ境界線となっている「分水嶺」があること。
そして美味しいお店があるらしいとGoogle MAPさんが仰っているからなのだ。
列車に揺られること30分弱、列車は陸羽東線の中でも屈指の秘境駅、堺田駅に到着。
駅舎などそんな贅沢なものはなく、簡素な待合室がぽつりと置かれているだけ、
まさに秘境駅感満載の駅である。
▲堺田駅で下車。列車は鳴子温泉駅へ
▲堺田駅
列車を見送った後、駅の中を少し見て回った後、駅から出るための階段を登る。
駅を出るとすぐに目に入ったのが分水嶺と標高を示す看板。
おお、ここだここだ!と思ったのもつかの間、
▲堺田の分水嶺・・・???
これではただの雪山でしかない。
薄々こんなことになっているような気はしたが、こればっかりは来てみないと分からないので致し方あるまい。
ただ雪に埋もれた分水嶺の写真は調べてもなかなか出てこなかったので、
きっと世界的にもなかなかレアものであろう(?)。
とりあえず一通りカメラに収めておくことにしよう。
▲除雪された雪しか見えない
この近くに遊歩道があるらしいのだが、御覧の通りの雪山。
夏にリベンジするしかあるまい。
冬季閉業中
さて、分水嶺を見終わった(見てない)ので、少し駅前を離れ国道に出てみることにする。
あたりは家が数軒散らばっているだけの、本当に秘境といった具合。
駅前に車は駐車しているが、人の気配はほとんどない。
野良猫が数匹うろうろと、家から家へ横断しているのは見た。
街灯もないため、夜なんかに訪れれば読んで字の通りの真っ暗闇であることは想像に難くない。
▲駅前のストリート。何もない
国道47号とのT字路に差し掛かると、
国道から見えやすい位置に堺田駅と分水嶺を示す看板がぽつんと設置されているのが見える。
とはいえその看板ですらも雪に埋もれているのだから、
わざわざここを曲がって行くような人は私くらいしかいないだろう。
▲堺田駅はこちら
国道47号は比較的交通量が多く、そしてトラックが多く行き交う。
雪によって歩道が埋まっているため車道を歩かなければならないところもあったのだが、
その時は前後の車の音をよく聞きながら左へ行ったり右へ行ったりと、なかなか気苦労が絶えない場所であった。
▲観光名所を示す看板
さてこの堺田駅には1つ、松尾芭蕉にまつわる有名な家がある。
それがこちらの「封人の家」(ほうじんのいえ)。重要文化財である。
▲封土の家。なお雪に埋もれている模様
私という人間はなかなか学習しないもので、
飯田線の旅のときにGoogle MAPだけを見てはいけないと学んだはずなのに、
今回もまたGoogle MAPだけを見て「あっここよさそうだな!」といってこうやって無駄足を踏むのである。
この家は見てわかる通り、冬の間は雪に埋もれてしまうので冬季閉業してしまう。
訪れるなら夏の間でなければならない。
っていうかGoogleで調べても普通に「営業中」ってなってるのがよくない!(見苦しい責任転嫁)
ここまで分水嶺、封人の家と見て頂ければお察しの通り、
私の行きたかったお店「時空」さんも御覧の通り雪の中。
▲評価の高い時空さん、なお同じく雪の中
ここではお蕎麦や川魚などを堪能することができるらしいとのこと。
また夏の季節に訪れましょう。
よい子の皆さんはこの阿呆を反面教師にして、Google MAPだけをアテにする旅はやめようね!。
きのこそばの温もり
とはいえ、この旅スタイルがなかなか私にあっているというか、
こういう自由奔放な旅スタイルが好きなのもまた事実。
何故なら、思いもよらない場所で新たな発見があるからである。私はサプライズ好きなのかもしれない。
▲芭蕉茶屋
そんなわけでのれんをくぐったのは「芭蕉茶屋」という小さなお店。
このお店はGoogle MAPには載っているものの評価がまだついておらず、
私の目的地のいくらかからは完全に外れていたのである。
ただ中は比較的ちゃんとしたお店となっており、カウンター席、テーブル席がある程度の人数分確保されている。
また飲食店と同時にきのこなどを取りそろえた地元の物産店のような場所でもあるようだ。
▲芭蕉茶屋内部。田舎の飲食店という雰囲気
内部にはおじいさんが1人、奥でなにやら調理を行っており、私が入ってきたことにしばらく気が付かなかった。
おじいさんにお声がけをして、ぱっと目に入った「きのこそば」800円を1つ注文。
ほどなくして湯気をもうもうと立てる美味しそうなお蕎麦が私の眼前に運ばれてきた。
▲温もりを感じるきのこそば
きのこがふんだんに使われた具材のおそば、体を温めるには程よいスープ。
ここにきて何も目当てのあれこれにありつけなかったこともあって、
なんとも心が救われるような、いつも以上に温もりを感じるお蕎麦であった。
店主のおじいさんとの談笑の合間にそのことをお話したら、ものすごく嬉しそうな笑顔が返ってきた。
旅の途中に触れる笑顔は、本当に何物にも代えがたいものだな。
駅に戻り、鳴子温泉行の列車がくるのを待つ。
きのこそばで温めたとはいえ、極寒の地で列車を待ったせいでまたずいぶんと体が冷えてしまった。
とはいえこれから温泉に入ると考えれば、まぁ、待ち時間もあまり苦にはならないものよ。
▲堺田駅に飾られた小さな絵