ブログ ~ 層雲峡旅行Day2 #5 登山初心者が黒岳に登る~前編~
maoP第5話:登山初心者が黒岳に登る~前編~
あらすじ
黒岳。日本でもトップクラスの早さで紅葉が始まる場所。
標高1984mの大雪山系の山は、七合目まではロープウェイとリフトで行くことができる。
七合目の標高は約1520m。行程の七割をカットすることができ、残るは460mの登山のみ。
これが黒岳が初心者におすすめといわれる一つの所以であろう。距離が短いというのは単純にハードルを下げるものである。
とはいえ、
登山は登山である。
舐めてかかっては文字通りの「死」が待つ。
私はこれまでの人生で登山らしい登山は一度もしたことがない。あえていうならば室蘭の測量山を舗装された道で登ったくらいだ。
ここではそんな私の未来への教訓も兼ねて一つ、メモを記しておくことにしよう。
私と同じように新たに登山を始め、その最初の地に黒岳を選ぶ人にも役立つ記事となれば幸い。
※登山の振り返り、必要な持ち物の話は次話。
七合目→八合目
ペアリフトを降りるとこんな感じの山小屋が立っている。
▲真っ黒な山小屋
山小屋というか、中はお土産屋さんなのであるが、その近くのゲートが登山口になっており、登山を始めることができる。
登山には予め登山届を出さなければならない。
果たしてどんな受付かと思いきや、ファミレスの待合名簿のような紙がありそこにペンが置かれているだけ。
受付の兄ちゃんは立っているけど、ただの案内係。
特に予め持ってくるような書類などもないのでそういう点では気が楽である。
必要事項を記入したら登山開始だっ。
▲登山口
いきなりで申し訳ないが、黒岳の登山は正直いって一番最初が一番の難関であった。
この七合目から八合目の間。つまり黒岳登山の入り口である。
雨にぬれていたせいもあるのだけれど、とにかく足場が悪い。
▲ごつごつした岩が立ちはだかる
沼地のような泥沼、水たまりは普通。そのうえに木の板が投げやり的に置かれている場所も珍しくない。
加えて大きな石がごろごろしており、ストックを持っていなかった私は手も使いながらよじ登るように足を進める。
最初でこんなハードでは今後の体力が持たない、やはり無謀な挑戦であったか・・・とは当時登りながら思ったものである。
▲道中は景色を見れるポイントが数多
八合目→九合目
八合目の看板を撮影していなかったので明確な時間は不明なのだが、だいたい30分程度で八合目へ。
ここまで登ってくると汗もすごく、私は寒いだろうと思って厚手のジャンパーを羽織っていたがこれを脱ぎ鞄の中へ。
気温一桁だというのに、日差しもあって汗ばむ陽気、パーカー1枚で十分な気候であった。
但し持ってこないという選択肢はあり得ない、対策は万全であるべきなのだ。
八合目の途中まではやはり少し岩山の様相を呈しているが、
途中からは非常になだらかな山になる。
確かに動作自体は岩を登っていくことに変わりはないのだが、傾斜がきつくなくなり、階段のような形になって非常に足腰が楽なのである。
▲さっきと比べれば大分楽
道中降りてくる登山客が
「登ってくる人にとってはここまであたりが大変だろうな」
この一言で光明が差した、救われましたハイ。
▲やはり景色はよい
道中の景色はどの高さから眺めても素晴らしい。
こういう景色を眺められるように、登山道はところどころ数人が溜まれるくらい道が膨らんでいる箇所がある。
他の人の邪魔にならないよう、休憩する際は少しわきに逸れ、景色を眺めながら鼓動を整えるとよいだろう。
それにしても登山客は非常に気さくな人が多い。
すれ違えば「こんにちは」は至極当たり前だし、「お疲れ様です」「頑張ってね」なんてお声がけも。
街中を歩いていて見知らぬ人に挨拶なんて正直普通はしないし、最初はびっくりしたところではあるのだが、
これも山が、或いは登山という状況が、きっとおおらかな気持ちにしてくれるのだろう。
またお互いに「頑張って登っている」ということは間違いない。励ましあうという文化が登山には根付いているのだろう。
そして心なしか登山客は男性はみなイケメンだし、女性はみな美人なのである。
やはり心が綺麗な人はお顔の程も綺麗なのだ、私も登山をしてイケメンになろうか()
▲登山開始から約50分
そんなこんなで九合目に到着。あと1/3である。
ちなみにであるが、携帯の電波は登山道であればどこでも通じる。現に私はtwitterで進捗報告しながら登ったものだ。
頂上へ
さて頂上へは引き続きなだらかな道が続くのであるが、
ところどころに最後の難関ともいいたいのだろう、崖のような岩山が立ちはだかる。
▲最後の試練か
降りてくる人のことも考えつつ道を譲りあいながら、どの岩を登ればいいか頭で考えながら進む。
なるほど、登山というのは意外に頭を使うものである。
そしてこの辺りになってくると、木々はもうほとんど背がない。
これを世の中専門用語では「森林限界」というそうだ。
日光こそ遮るものがないため十分なのであるが、低温や乾燥が樹木の生成を妨げるらしい。
森林というのは様々な条件が重なり合ってできる、まさに大自然のご加護なのであるな。
▲身長の低い木々
黒岳では頂上に近づくにつれ、眼前に大きな岩が現れる。
「まねき岩」という岩で、これが見えてくると頂上も近しい。
最初は見上げる位置にある岩だが、自身が登るにつれてどんどんと見下ろす恰好になっていく。
最初見上げていたものを、今度は見下ろす。ふむ、これもまた登山の醍醐味というやつか。
▲まねき岩を見上げる
▲まねき岩を見下ろす
初登頂!!
そして登り始めて1時間10分程度、ついに・・・
▲ついに
人生初登頂!
▲景色も興奮も最高潮
この感動、山に登ってみないときっと伝わらないだろうなとは思いつつ、
語彙力のない文章で何とか表現してみると、
とにかく「達成感」が半端じゃない。
なにせ1時間以上も足腰に鞭を入れて登ってきた山なのである。
そしてその達成感を感じさせるのに十二分の働きを見せるのが2つあって、
まずはこのモニュメント。
▲秀峰黒岳
そしてもう1つは景色を見下ろすこと。
▲まさしく紅葉の絨毯
あんなにもロープウェイやリフトの乗り場が小さくなって・・・
なんて思えば、より一層自分が登ってきた道のりに思いを馳せることができるというものだ。
そして頂上で欠かせないものが、ご飯である。
▲ふつーのスティックパン
ネタにも昇華できるけど、事実これは結構重要だと思っていて、
ここまで登るのにかなりの体力を消耗したはず、そんな体が欲するのはやはり食べ物である。
周りを見渡してもやはり岩に腰かけておにぎりを頬張ったり、インスタントラーメンを作ったりなんて光景は実に普通。
そしてこういうところで食べるご飯が格別にうめぇ!
いつものコンビニで買うパンも、何十倍も旨く感じる。心の満足度が違うのだろう。心が満たされていれば何を食べても旨いのだ。
と、頂上でだらだらしているとヘリコプターが旋回してきた。
黒岳の頂上をぐるっと一周、応えるように周りの登山客もみなヘリコプターに手を振る。
ううーん、なんだか自分が特別な人になったみたいだ。
▲写真展に飾られてそう(小並感)
しかし頂上に到着し時間が経ち汗がひいてくると、非常に寒い。
頂上はふきっ晒しだから風が容赦なく吹き付けるうえ、気温自体も非常に低い。
道中脱ぐことになっても、厚手の上着は必須である。頂上は寒いのである。
次話は下りの行程、そして初登山で持って行ったものとあったほうがよかったものなどを纏めておこうと思う。